みなさま、こんにちは。阿曽隈で御師をしております、壽(ことぶき)です。
猛暑のなかでも、お盆を前にどことなく静けさや風の移ろいを感じる今日この頃、みなさまはいかがお過ごしでしょうか。
さて、先日、私どもが再生を進めている阿曽隈の古民家「はじまり」の敷地内で、片付け作業を行っていたときのことです。ふと足元に目を落とすと、地面の上に一が一筋の風に揺れながら、一羽の鳥の大きな羽が落ちていました。
その力強くも美しい羽模様を目にしたとき、私は胸がすっと温かくなるような、不思議な感覚を覚えました。「これは……もしや、鷹(たか)の羽ではなかろうか」と。
「鷹羽」の地に語り継がれる、聖なる伝承
ここ香春・阿曽隈の地には、地主神である豊比咩命(トヨヒメノミコト)様や景行天皇の巡幸にまつわる、古い伝承が今も大切に語り継がれています。
かつてこの地に一羽の聖なる鷹が飛来し、自らの羽をふわりと落としました。その羽が舞い落ちた場所(現在の採銅所や龍ヶ鼻のあたり)には、必ず豊かな実りや思いがけない幸いがもたらされたといいます。
人々は感謝を込め、その地域を「羽の落ちる里=鷹羽(たかは)の郡(ごおり)」と呼ぶようになりました。
英彦山(豊前坊高住神社)や古宮八幡宮をはじめ、この土地の神社や古くからの家に掲げられている神紋・家紋の「鷹の羽」は、まさにこの吉兆と恵みの記憶を今に伝える証なのです。

目に見えない想いを、大切に受け取る場所として
古民家「はじまり」の地面に静かに横たわっていた一枚の羽。それが本当に鷹の羽なのか、現代の科学的な分類では分からないのかもしれません。
けれど、これから多くの「新しいはじまり」を迎えるこの場所で、その羽と出会えたこと。それは私にとって、目に見えない大自然や神々からの「大丈夫、ここから良い風が吹き始めますよ」という、優しい吉兆のように思えてならないのです。
阿曽隈は、単に美しい自然を楽しむためだけの場所ではありません。 目に見える風景の奥にある歴史や、目には見えないけれど確かにそこにある温かな想い、そして一人ひとりの胸の中にある小さな願い。そうした「目に見えないもの」を何より大切にし、そっと抱きしめる場所でありたいと思っています。
ふと日常から離れて心を整えたくなったとき、あるいは自分の中の「新しい芽生え」を感じたときは、どうぞこの阿曽隈へ羽を休めにいらしてください。
風に乗って舞い降りた一枚の羽のように、あなたのもとへも穏やかな幸いが訪れますように。
一日一生。 今日という特別な一日とこの場所での出逢いに感謝を込めて。
阿曽隈 御師・壽(ことぶき)

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